And Your Bird Can Sing / きみの鳥はうたえる (Shô Miyake, 2018) 
国際交流基金はCasa AsiaCinemes Gironaとのコラボレーションにより、日本映画最新作品シリーズの上映を行う。1214日から111日まで、バルセロナのCinemes Gironaでは日常生活とそこで起こるトラブルを描いた数々の作品の上映が予定されている。このシリーズでは、スクリーンを日本の日常を覗き見る窓のように仕立て、主人公との共感を生み出すシチュエーションを作り上げる。これらの作品は、小津安二郎や黒澤明等の映画監督作品の流れを受け継いでいるだけでなく、20世紀後半期から現在までの文学作品の影響も受けている。このシリーズで上映される6作品はいずれも、2018年から2019年の間に撮影された作品で、どの作品も社会の複雑さを映し出した作品である。外国の観客を魅了する日本独自の都市風景の中で生活する人物の孤独を描き、映像でしか実現し得ない過去の現在への投影を行い、観客にそれを体感させる。
 
日時:201912月14日(土)~ 2020111日(土)20

会場:Cinemes Girona (C/ Girona, 175. Barcelona).

入場料:3.50ユーロ。会員料金等:2ユーロ

 
上映作品及び上映日:

His Lost Name / 夜明け (Nanako Hirose, 2018)

2019年1214日(土)20:00-

「夜明け」監督:広瀬奈々子 2018年、113分、スリラー

地方の町で木工所を営む哲郎は、ある日河辺で倒れていた見知らぬ青年を助け、自宅で介抱する。「シンイチ」と名乗った青年に、わずかに動揺する哲郎。偶然にもそれは、哲郎の亡くなった息子と同じ名前だった。シンイチはそのまま哲郎の家に住み着き、徐々に心を開きはじめる。シンイチに父親のような感情を抱き始める哲郎。互いに何かを埋め合うように、ふたりは親子のような関係を築いていく。
だがその頃、彼らの周りで、数年前に町でおきた事件にまつわる噂が流れ始める…。(参考:https://yoake-movie.com/

2018年釜山国際映画祭で初公開されたこの作品は、2019年香港国際映画祭、バルセロナ・アジア・フィルム・フェスティバルのパノラマ・オフィシャル部門でも紹介された。

また、監督の広瀬奈々子は、武蔵野美術大学を卒業後、是枝裕和監督のBUN-BUNKUプロダクションに入社。本作が映画監督デビュー作となる。

20191221日(土)2000-

「アジア三面鏡2018 : Journey」監督:エドウィン、松永大司、デグナー 2018年、83分、ドラマ 

日本人を含むアジアの気鋭監督3人が一つのテーマ「旅」をもとにオムニバス映画を共同製作。まったく性格の異なる母娘の中国、北京から海の旅を描いたデグナー監督作「海」(中国)、長谷川博己がミャンマー・ヤンゴン市内の鉄道整備事業に携わる日本人の商社マンを演じる松永大司監督作「碧朱(へきしゅ)」(日本)、旅先の東京で出会った謎の男から奇妙で官能的なアドバイスを受けるマンネリ化したインドネシア人夫婦を描いたエドウィン監督作「第三の変数」(インドネシア)の3作品から構成。(参考:https://eiga.com/movie/89594/

本作は2018年東京国際映画祭で世界初公開され、2019年バルセロナアジア・フィルム・フェスティバルでも上映された。

また、インド人映画監督であり脚本家でもあるエドウィンは「空を飛びたい盲目のブタ」(2008)の作品で知られている。松永大司は俳優としても活動しているが、2000年からは主にCM、ミュージックビデオやドキュメンタリー作品の監督として活動している。モンゴル生まれの監督及び脚本家のデグナー・ユンは現在、中国・北京を中心に活動している。

201912282000- 

CALL FOR DREAMS 監督:ラン・スラヴィン2018 年、 83分 、 ドラマ、スリラー

雨の降る東京、エコは新聞に「夢の募集」広告を掲載することで彼女の人生を複雑にしている。見知らぬ人が夢と空想を留守番電話に残す。夢が徐々に現実に浸透し、テルアビブでの殺人事件の並行調査が警察によって展開されるにつれて、何が現実で何がそうでないかを区別するのが難しくなっていく。(参考:https://www.esjapon.com/ja/affbcn2019-34205

2019年バルセロナアジアフィルム・フェスティバルのNETPAC部門でも紹介された作品。

映像作家、ビデオアーティスト及び電子音楽の実験プロデューサー、ラン・スラヴィン。彼の作品は特定の場所に設計されるプロジェクトやクロスメディアが多数。映画、ビデオインスタレーション、サウンド作品、印刷物などジャンルは様々。夢の影響を大きく受けている彼の作品は、驚くべきデジタル世界とリアル世界の融合を果たす。「Call for Dreams(2018)、「The Insomniac City Cycles(2009)、「Ursulimum(2011)等の作品で知られている。

20191420:00-

きみの鳥はうたえる」 監督:三宅 唱、2018年、107分、ドラマ

「そこのみにて光輝く」などで知られる作家・佐藤泰志の同名小説を、柄本佑、染谷将太、石橋静河ら若手実力派俳優の共演で映画化した青春ドラマ。原作の舞台を東京から函館へ移して大胆に翻案し、「Playback」などの新鋭・三宅唱監督がメガホンをとった。函館郊外の書店で働くと、一緒に暮らす失業中の静雄、の同僚である佐知子の3人は、夜通し酒を飲み、踊り、笑い合う。微妙なバランスの中で成り立つ彼らの幸福な日々は、いつも終わりの予感とともにあった。主人公を柄本、友人・静雄を染谷、ふたりの男の間で揺れ動くヒロイン・佐知子を「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」で注目された石橋がそれぞれ演じる。(参考:https://eiga.com/movie/86483/)

本作は2019年キネマ旬報ベスト・テンでベスト・ワンにノミネートされた他、柄本佑が主演男優賞を受賞した作品。そのほか、2019年ベルリン国際映画祭、2018年東京国際映画祭、2019年香港国際映画祭などで紹介され、2019年バルセロナ・アジア・フィルム・フェスティバルでも、ディスカバリー部門で上映された。

この作品で監督を務め、脚本家としても活動する三宅唱は2007年に映画美学校フィクション・コース初等科を修了。「Playback(2012)や「Wild Tour(2019)などの作品で知られている。

 

2020111日(土)20:00-

「十二人の死にたい子どもたち」監督:堤幸彦、2019年、117分、スリラー 

その日、12人の未成年たちが、安楽死を求め廃病院の密室に集まった。そこで見知らぬ少年の死体に遭遇。死体の謎と犯人をめぐり、疑心暗鬼の中、ウソとダマし合いが交錯し、12人の死にたい理由が生々しくえぐられていく。現代の若者の間に多い自殺問題を描写するスリラー作品。

2019年香港国際映画祭で紹介され、2019年バルセロナアジアフィルム・フェスティバルのオフィシャル部門にも参加した作品。
監督を務めた堤幸彦は日本の映画監督、演出家、ビジュアルアーティストとしても活動している。ミュージックビデオの撮影からキャリアを始め、現在は演劇からミュージカル、テレビドラマ、CM、映画作品まで幅広く活動の場を広げている。彼の作品「ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer」(2000年)は日本で大ヒットした。

主催 Casa Asia Cinemes Girona
協力:日本国際交流基金